将来のことなんて考えなくてよかった中3の夏休みのように
リバ邸カオス二代目管理人 神山ケイゴ
中学3年生、ようやく部活での大会も終えて夏休みを満喫できるようになった頃、どう過ごしていただろうか。
受験勉強モードに切り替え勉強に没頭していた人もいれば、はじめてできたパートナーと夏を満喫していた人もいるかもしれない。
しかし、”なんとなく過ごしていた”という人もたくさんいたはずだ。
なにをするでもなく、ただ友人の家に集まり、マンガを読む人もいれば、ゲームをする人もいる。
そこは目標や目的なんてものはなく、なにも考えずにただただそこにいていい。
「将来なにになりたい?」
「受験勉強の調子どう?」
そんな気の重くなる意識の高い質問とはかけ離れた場所。
ぼくたちは、こういった場所を”溜まり場”と呼ぶ。
いつしか、学校を卒業して社会人になり、いつの間にか顔をあわせることも少なくなってしまった同級生たちとは”溜まり場”で過ごす機会も少なくなってしまった。
だけど、大人になってもまだ「中3の夏休み」でいられる溜まり場が、ここリバ邸カオスだ。
2017年10月に武蔵小杉にOPENしたリバ邸カオスは、物件都合による閉鎖を免れるためクラウドファンディングプロジェクトにて引越し費用の支援を募り、2019年6月に南千住にて移転リニューアル。
リバ邸カオスの意思を継ぐ「異常なほどアットホームなシェアハウス」を立ち上げたい!
横浜時代の初期住民だった神山奎吾氏により移転リニューアルを果たしたリバ邸カオスについて、お伺いしてきました。
リバ邸カオス管理人「神山ケイゴ」
名前:神山奎吾(かみやまけいご)
愛称:ケイゴ
仕事:ニート
職種:日本ゆでたまご協会会長、元月収150万フリーエンジニア。
初代リバ邸カオスの住人であり、3代目管理人。ゆでたまごを愛し過ぎる余り、日本ゆでたまご協会を設立。会長を務める。
ゆでたまごで世界中を幸せに!「日本ゆでたまご協会」設立プロジェクト
部室、溜まり場、リバ邸カオス。
─さっそくですが、リバ邸カオスはどんなところですか?
そうですね…
いいところはたくさんあると思ってるんですけど、
「意識が高い」
「みんな仲良し!」
みたいに、「これだ!」って表現できるものがあまりなくて。
住人みんなで何度か「リバ邸カオス一言で表すとすれば?」って感じでカオスを例える一言を考えてみたんですけど、しっくり来る表現が見つかりませんでした。
でも、遊びに来る人とかにはよく「溜まり場っぽい」とか「部室っぽい」って言われます。
みんな、なにか目的を持って集まっているのではなく、一緒に過ごしていること自体がただただ心地いいというか。
ー「溜まり場」という表現、この雰囲気にとてもしっくり来ますね。
あ、ちなみに名前が「カオス」なんですけど、頭がおかしいみたいな人はいなくて、みんな割といい意味で普通の人です。
なんというか、カオスはみんなマンガ読んだりゲームしたりしてて、特に何か目的があるわけじゃないのにリビングに集まっています。
最近は住民みんなでリバ邸カオスの公式サイトを作ったりして遊んでいました。
こんな感じでなんとなく楽しそうって思ったことを住民とやっているのですが、この前リバ邸カオスによく遊びにきてくれる友達が彼女に「あそこは沼だから行っちゃだめ」って言われたらしいです。
たぶん、脱力し過ぎてるので自制心がないとただのニートになってしまうと思います。
夢とか聞かれるの、だるい。
─リバ邸カオスをどんな場所にしていきたいですか?
正直、「こうしていきたい!」みたいなものはないです。
ぼく、昔から夢とか聞かれるの苦手なんです。
唯一記憶にあるのは、10歳のときに小学校で「サスケオールスターズの一員になる」って書いたことくらいで。
ぼく自身、フリーのエンジニアとしてすごく月収を追い求めていた時期もあったのですが、いざ稼ぐことができると体感してしまったときに特にやりたいことがなくなって。
お金がたくさんある状態ではあったんですけど、高いご飯を食べるよりシェアハウスのみんなでゆで卵食べてるときのほうが幸福度が高かったんです。
「人生は暇つぶし」って言葉があると思うんですけど、暇つぶしなのであれば人生山あり谷ありじゃないといけないものではないと思っています。
だから、あえていうならリバ邸カオスは「なにもしなくてもいいと思える場所」であってほしいかもしれません。
人って、なにかしたくなったら勝手に動き出すと思うので。
将来のことなんて考えなくてよかった中3の夏休みのように
─たしかに、実社会でもSNSでも「目標を持たなければいけない」というような空気ってありますよね。
なんというか、社会人になったら行動には理由が求められるし、行動の理由には生産性とかを求められることが多いかもしれません。
けど、リバ邸カオスは学生時代のたまり場の感覚でいられるような場所であってほしいと思ってます。
将来のことを考えるのは、考えたいって思ったときでいいのかなって。
─ありがとうございました。なにか、忘れていた感覚に触れることができた気がします。
編集後記
今回、第一弾の企画としてはじめた管理人インタビュー。
インタビューを続けるうちに、インタビューをする自分自身が「がんばらなければいけない」という錯覚に焦っていたことに気がついた。
リバ邸カオスは、いつの間にか失ってしまった”溜まり場”での時間をもう一度過ごせる哀愁がある。
人は本来何者でもないし、しなければいけないこともない。
リバ邸カオスは、そんな強制感を忘れさせてくれる場所なのかもしれない。